母親

私は母親が大嫌いだ。

母親は私を保育士にさせたかった。

母親自身が子育てをしていて、

保育士の資格を取ったら良かったと思ったから、

それを私に押し付けていた。

母親は私に押し付けている自覚がないから、

厄介だった。

小さい頃から言われ続け、

大学の推薦入試の時まで揉めた。

高校に入ってから、

志望大学の調査が度々あった。

その度に教育大学の幼児教育課程を書けと

言われ続けた。

私は夢があった。

なりたい職業が決まっていた。

それを母親に言うと、

“どうしてお母さんの言うことが聞けないの?”

“保育士の何が嫌なの?”

“お母さんの時は~”

と2時間ぐらい

ヒステリックに怒鳴り散らしてきて、

嫌だった。

大変だった。

地獄だった。

どれだけ私が辛い思いをしたか、

家族はその場にいなかったから、

誰も知らない。

自己主張が強い妹には保育士を押し付けないのに、

妹と違ってお手伝いをする私には押し付ける。

私だって意思を持っている一人の人間なのに、

私の意思を無視する母親が大嫌いだった。

私は子どもを産みたくないと思っている。

母親みたいになりたくないから。

“私は26で結婚して子どもを産んだのよ”

“早く孫のお世話がしたい”

と母親は言うけれど、

私は母親を満足させるためだけに、

子どもを産む気はない。