女は不要だ。
その一言で片付くような世界を生きてきて。
ある梅雨の日の夜。
お姉ちゃんが男だったら良かったのに。
妹に真顔でそう言われた。
お前が男だったら良かったのに。
父親に真顔でそう言われた。
母親が苦しいのも、私が女だから。
私が女で跡取りになれないから。
女に生まれたこと。
女なのに生まれてきたこと。
女である自分が存在否定されていて。
私自身も納得するしかなく。
生きる価値など皆無に思え、
自分の生死に興味を失い、
自分の命が薄っぺらく感じ、
私はぬけがらになった。
16才の梅雨の日の夜。
自分の命に十字架を背負った日。